スクールカースト(すくーるかーすと)

スクールカースト(すくーるかーすと)

定義

  • 同学年で対等なはずなのに、「あの子たちは『上』で、あの子たちは『下』」という序列を生徒たちが認識・共有すること。
  • クラスのステータスを表す言葉で、従来のステータス決定要素と異なり「人気」や「モテるか」でステータスが決まるということ。
  • 上位から「一軍、二軍、三軍」あるいは「A、B、C」と呼ばれる

名前の由来

  • 名前の由来は次の2通りがある
  1. 「下位グループ」であった子供たちがインドのカースト制度になぞられて鬱積した不満をネット上に書き込んだことにより広まった。

  2. 教育評論家の森口朗氏が2007年に出版した「いじめの構造」という本の中で、『いじめモデル』にリアリティを持たせるため、『スクールカースト(クラス内ステータス)』という概念を持ち込んだ。

「スクールカースト」の実態

  • システムエンジニアのMさん(29)は、「12歳の自分」をこのように振り返る。
  • 小学校時代、友人が一人もできなかった。いつも家でただ一人ゲームに没頭していた。ゲームセンターに行って毎日毎日全国トップクラスのハイスコアをたたき出しても満たされない…友達がいない負い目。友達が欲しかった。
  • かといって、自分には仲間を引き付けるリーダシップがあるわけではない。だからこそ、中学入学を機にキャラ替え。行き着いた先は「いじられキャラ」を演じることであった。
  • 「ピエロ」を演じることで、クラス内の人気者になった。まさに教室の中では「主力グループ」になった。グループのメンバーは頭が良いわけでも運動神経が抜群でもないが、場の雰囲気を盛り上げ「空気」を作っていける生徒の中に自分はいた。
  • しかし、すぐにその状況が変わった。トイレの個室に閉じ込められてホースで水をかけられたり、裸にされて唾を吐きかけられたり…と「いじられキャラ」から「いじめられキャラ」に変わっていったのだ。そして周りから気持ち悪がられ、自分の存在を消そうと思い遺書も書いた。そして3年間耐えた。
  • 公立高校に進学し、また「キャラ替え」を試みた。しかし、それを果たすことができず、クラスでは存在すら認められないグループに所属することになった。Mさんはそこから必死に抜け出そうとした。
  • ある日、同じクラスの女子生徒がMさんにこういった。「このクラスの人間は、一軍・二軍・三軍に分けられているよね」と。
  • この言葉を聞いたMさんは、「俺は何軍なんだ?」と問いかけたが結局わからなかった。高校2年の時、居場所がいない孤独な学校生活に耐えられず、高校を辞めた…
  • 「上」の生徒は「下」の生徒に対し、人事権などを行使するなど「絶大な権限」を有している。それに関する実例を紹介する。
  • 「上」のいうことは通る。だから楽しい
    • Tは「スクールカースト」の最上位にいたため、その時の学校生活は「とても充実」し「楽しかった」と述べている。その理由をこのように述べている。
      • 『やっぱり上にいたら楽しいね。ここを経験したから言えるけど、結構自分の言いたいことは通るし、やっぱりそれは楽しいよね』

      • 『何人組を組めというときがあるじゃないですか。そんなとき(下位グループに所属しているとき)は、その人数がそろわなくて大変だったかな。しかし、上のほうにいるときは、基本一人でいたことがなくって、どっかに所属しているか友達2~3人いたから。(中略)
        上にいたら何とかなる。(ランクの)上から順番に声をかけてゆけばいいんじゃない?』
  • 「上」と仲良くしておくといいことがある
    • 中学校時代を通じて「上」のグループと仲の良かったAは、上位のグループと所属していると、席替えのくじも「勝手にいい方向にしてくれる」ため、その時の学校生活は充実していたと振り返る。
      • 『だいたいそういう子(「上」のグループに所属している生徒)と仲良くしておくと、そういう子が席替えの時とか、なんでも勝手にいい方向にしてくれるからよかったかも。(中略)強めの人たちは楽しかったと思うよ。なんでも自分の思うとおりに進むのだから』
  • 上位に位置づけられるグループと仲良くする=好まれること
    • 「下位」の「穏健派」に所属していたSは、次のように学校生活を振り返る。
      • 『いいこと?好んでいた人はいたし、やっぱり何でもいいようにクラスを動かすことができるから。うん。好まれるところじゃないですか』
  • 逆に「下」のグループに所属していた人たちの実態はどうだったのか?
  • メリットは全くない
    • 下位グループに所属していたSやHは学校生活をこのように振り返る。
      • 『うーん、どうなんだろ。メリットは全く思いつかない。グループ単位で行動できるときはいいんだけど、全体として動かなければいけないときは、自分の意見は全く通らないから、言えなくなっちゃうから、たぶん思うようにはなっていないんじゃないかな』

      • 『なんか旅行っていうか、校外学習といった時の班決めのとき、先生が「適当にグループを作っていいよ」というときがあるじゃないですか。(中略)三人組んで、女子と合流して班ができて僕だけあぶれたんです。そして、男子のほかのグループに入るため声をかけたらひかれたんですよ。「えっ」といったのが「イケてるグループ」だったので。さらに「くそ、しょうがねえなあ」といわれて』
  • このほかにも「スクールカースト」の実態がたくさんあるが、書面の都合上ここまでにしておく。もっと見たいという方はこちらを参照してほしい。
  • TやAが述べているように、「グループの力の強さ=学校生活の楽しさ」であることがよくわかる。

「スクールカースト」は覆すことは可能か?

  • Mさんの事例にもあるが、「下」の生徒が努力して「上」の生徒に這い上がることはできるのだろうか?と思った人はいると思う。でも、実際は「NO」である。なぜなら…

インターネットが普及したことにより、学年で情報が共有されているため、序列逆転は不可能だからである。

  • その反対に「上」から「下」に落ちるのはいくらでもある。たとえば、部活(運動部)のレギュラーでキャプテンだった人物が、何かの理由で部活を辞めざるを得なくなったため、それまで「上」として尊敬していた生徒が反旗を翻して、急に態度を変えたるすることはよくある。

「上」の生徒には「友達」は少ない?

  • スクールカーストの上位にいる生徒にクラスメイトが「寄ってくる」のだそうだが、良い印象を持っていないにも関わらず、彼らは「寄って」ゆき、「嫌っていない」そぶりを見せるのか。「上」のグループに所属していたAはこのように述べている。

とりあえず従わないと、とりあえずめんどくさいからその子に従っているようにするんだけど、一部の人間はその子らと仲が良かったけど、やっぱり普通の子たちはあんまり口に出さなかったけど、好きではなかったのだと思う。友達は多いようなんだけど、実はクラスの中でもその子らのことが好きでないのが意外に多くて。』

参考文献 鈴木翔,教室内カースト,光文社新書,2012,p1-

宮島央介,スクールカーストとは?,NAVERまとめ,2013,L1-


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