教育ICTはコンテンツが命?
教育ICT=コンテンツ?
- ここ最近、反転授業やアクティブラーニング、「教育動画」など、情報機器や情報技術を活用した授業が「21世紀型の新しい教育」として注目されています。しかし、本当にこれは必要なのでしょうか?
- 以前、私は「反転授業・アクティブラーニング」についてのまとめをNAVERにアップしたことがあります。その際、反転授業の利点・欠点を調べました。そこでわかったことを挙げようと思います。
反転授業・アクティブラーニングの利点
反転授業
- 多忙な生徒の負担を軽減する
- 躓いている生徒を助ける
- 生徒が先生を巻き戻し・一時停止できる
- 先生が休んだ時の対策になる
- 保護者も子供と一緒に勉強できる、など
アクティブラーニング
- 講義を聞くより効率よく知識を吸収することができる
- 能動的に学ぶことで、生徒の学力が均一化する、など
…となっております。では、欠点はどのようになっているのかというと…
反転授業・アクティブラーニングの欠点
反転授業
- ICT(情報通信技術)にこだわりすぎる
- インターネットがないと使えない(特に動画を使った反転授業の場合)
- とにかくお金がかかる
- 動画を見てコメント(質問)してもすぐ返信してこない
- 長時間動画を見ると疲れる・面白くないので飽きる
- 24時間365日監視される
- 無責任な先生が横行する
アクティブラーニング
- ある程度方向性を持たせないと能率が下がる
- 友達に聞いても分からない子もいれば、友達に教えても退屈する子がいる
- 効果測定がしづらい
- 形骸化しやすい
…となっております。
- このように、利点がある反面、欠点がそれ以上に存在するという授業形式なのです。
ICTコンテンツは飽きやすい!
- 勉強に遊びを取り入れ、遊びながら勉強する…これは私もこのように勉強してきたため、非常に効果があると思います。また、そこにニーズを感じた業者や一攫千金を狙う人たちがこぞってアプリを作り、iPhoneやAndroidに提供しています。しかし、内容が似たり寄ったりのため、飽和状態になりつつあります。(基本的には○×形式、四択クイズであるため自分で考える必要がない。何回も繰り返しプレイすれば答えを丸暗記できてしまい、効果が大きく損なわれる)
- また、ICTコンテンツは非常に「つまらない」ものが多く、すぐ飽きてしまいます。これは弊社代表が指導する生徒たちに聞いても同じことを言っています。どんなに長くやっても10分持たないのが現状です。
- だから、弊社代表は教え子に「勉強アプリよりゲームをやりなさい」と言っています。ただし、最後にこのような一言を付け加えて。
「ゲームをプレイするとき、なぜそのような結果が導かれたのか。また、望まない結果を出さないようにするにはどうすればいいかを考えながらやりなさい」と。
生活で使用するICTと授業で使用するICTは別物と教師はとらえている
- 弊社代表は高等専門学校出身のため、ICT(当時はそんなことを言わず情報処理と呼んでいました)は技術開発に必須なものであったため、「自分で作ったおもちゃを動かす」「実験結果を処理させる」という「実用的な」ものを授業で行っていました。だから、すんなりと受け入れることができましたし、それを活用する能力も大幅に向上しました。
- しかし、今の学校で行われているICT授業を学んで情報技術活用能力は向上するのでしょうか?
- 下のグラフをご覧ください。これは教員のICT活用能力の推移を表したグラフです。このグラフより、教員自身のICT活用能力は上がっている一方、児童のICT活用能力が8年間でわずか7%しか上がっていません。なぜこのような結果になったのでしょうか?
画像引用元 教育ICT常識の嘘 #2「IT活用指導力」
- i-learn.jpによると、「これだけICTが日常生活に浸透しているのに、未だにIT活用指導力の向上が課題であり続けているのは謎だ。数値が改善しているとはいえ、スピードが緩やか過ぎる。それは、教員にとって生活で用いるICTと授業場面で用いるICTが異なったモノとして認識されているからだと推測できる。」と分析しています。
これよりいえるのは、「児童生徒たちがICTで学びたいもの」と「教員が提供するICTコンテンツ」の内容が大きくずれていること、彼らが提供しているコンテンツがあまりにも現実離れして使い物にならないということを子供たちが見抜いているのだと思います。
ICTを駆使しても「学ぶ行為」はまねできない
- これに関し、i-learn.jpは面白い指摘をしています。それをそのまま引用します。
さて、ICTに限った話ではないが、B分類項目の課題をもう一つ指摘しよう。教示主義の一斉授業は教える者と学ぶ者を完璧に役割として分けるので、行為自体も別々のものにしてしまう。面倒臭い表現になるが、教員から「知識」は学習出来ても、「学ぶ行為」は学習できない。
教員側行為は問答と知識提示だから、行為を真似ることで学習者が電子黒板を利用したプレゼン能力を身に付けるかもしれない。しかし、先にICT活用を劇場の大道具に例えたように、教員は舞台裏の動きをあえて見せないから、凝った授業展開をしても学習者側に資料(教材)を構成する能力は身に付かない。
とすれば、IT活用指導力として注目すべきは、やはりC分類にある児童生徒サイドの活用ではないか。C分類の項目は、教員側が一方的に児童生徒に◯◯させる、というのとは少し違う。学びの主体は学習者側にあるのだから、教員も学習者と同じ立ち位置で「学ぶ行為」を共有する事が出来る。
大人でも子どもでも、課題の絞り込み、探求、整理、要約といった「探求・学びの行為」は基本的に共通だから、もし、教員側の学ぶ行為が学習者側からも間近に把握出来れば、その行為セットはスキルとして学習者側にも伝搬しうるということだ。
つまり、現状のようにIT活用指導力を「ICTで教える力」や「ICTで学ばせる力」として分断して高度化する方略ではなく、むしろ、もっと身近に引付けて「ICTで学ぶ力」と再定義すれば、教員にとって生活場面と授業場面のICT活用の段差はより小さなものになるだろう。
記事引用元 教育ICT常識の嘘 #2「IT活用指導力」
- これよりいえることは、ICT教育を推進する人たちはとにかく「テストの点数を上げる」ための手段としか見ていない、と思います。これは勉強動画を見ていてもそう思います。
最後に:ICTで学ぶものは?
- ICTで学ぶもの、それは「ICTを駆使して自分のほしい情報を抜き取る」「膨大な情報から真の情報を見抜く」方法です。これが一番重要なことなのです。
- ここまで情報化社会が進むと、「本当の情報」「嘘の情報」が大量に混じった玉石混交になっているのが今の時代です。そこから「自分のほしい情報」を抜き取ったり、「情報の真贋を見抜く目」が必要となってくるのです。だから、これからの教師は上の2つを教えるのが必要なのだと思います。
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