教育問題8

教育を面白くするにはどんな取り組みが必要だと思いますか?

図44

  • Daniel氏が指摘している通り、「学ぶ側」を面白くするのか、「教える側」を面白くするのかをはっきりさせないと、質問に答えるのが難しいです。
  • 今回は「学ぶ側」と「教える側」を面白くする取り組みについて、自分の経験をもとに述べてゆこうと思います。

1.「学ぶ側」を面白くするにはどうしたらいいのか?

  • 私は小学生~高校生を指導しております。どのようにして「学ぶ側」を面白くさせているのかというと…

小学生の場合は、このようにしております

  • 算数を学びたい小学生の場合、学校の課題を中心に問題を一緒に解き、実際に私が間違えたりしながら「なぜ間違えたか」を説明します。「この問題どうやって解くの?」と言われたら、「こんな方法を使って解くの」と見せてあげます。これについて細かく解説したのち、実際に私が使った方法で2~3問問題を解かせ、正解させます。それが自信につながり、モチベーションアップにつながってゆきます。面積の公式は「こうやってできているんだよ」と教えてあげると、小学生は食い入るように聞いていました。
  • 理科の場合、小学生のお子さんは「教科書に載っていない」実験の質問をしてくることが多い(※筆者の肌感覚です)ので、実際に目の前で実験をしたり、一緒にYouTubeの動画を見ながら「自分の言葉」で解説します。
  • 社会の場合、教科書の見解と180度逆の見解で答え、「なぜ先生はこんなことをいうのか?」という疑問を与えます。説明後、「私はいろいろな本を読んだり、インターネットのサイトを見て調べた結果、このような考えに至ったんだよ」と身振り手振りを使いながら説明します。結構身を乗り出して聞いてきますね。あと、「スキマ知識」という「スパイス」を加えながら説明するといいでしょう。
  • 国語の場合は、とにかく漢字をその場で書いてあげることです。これだけで生徒は「おお~」といいます。

中学生の場合は、このようにしております

  • 数学の場合、最初に「学校の先生が示した方法に従って解く必要はない。先生に自分が出した解答が『筋が通っている』ということを示せばよい」と生徒たちに述べたうえで、実際に問題を解き「ここはこういう理由で導いた」ということを一字一句すべて書き出して説明してゆきます。
  • テストの解説は、スペースの都合上かなり端折って説明しているので、そこを書き出して「ここはこういう理由だから」と理由を述べてゆきます。
  • 中学2年や3年になると、自分の進路や就職について興味を持ち出すので、そのような質問が来たとき、包み隠さず、現時点で分かっている「ありのままの事実」を伝えます。その時、自分自身の経験も伝えます。
  • 安直に進路(進学先)を決める学生に対し、まず最初に「なぜそこでなければいけないのか」ということをしっかり聞きます。この時、あいまいな解答やいい加減な解答を返してきた学生に対し、「このようなことはここでも学ぶことができるけど?」という質問をぶつけ、もう一度考えさせます。
  • 中学生は学校生活のストレスがすごいのか、よく「○○先生ムカつく」といった愚痴をこぼします。それを聞いて生徒の言い分を最初から否定せず、その分を認めつつも、「先生があなたにこんなことをいうのは、こういう理由だからだよ」という理由で諭します。
  • いじめに遭った生徒は「世間一般」のいじめ対策ではなく、セブンティーン(雑誌の名前)に書かれているいじめ特集の記事を読ませています。
  • 生徒のリクエストは可能な限り応えてあげることですね。(例えば、「こんな問題もってきて」とか、解説書くとき、「この漫画のキャラを使って書いて」といったものです)

高校生の場合は、このようにしております

  • 高校生くらいになると、ある程度思慮分別ができ、自分の価値観も生まれてくるので、学生が議論を吹っかけてくることがあります。その時「子供だから」とあしらうのではなく、「一人の大人」として、今までの経験・自分の価値観からくる見識・自分が勉強していることを駆使しながら自分の考えを展開し、生徒自身に考えさせます。生徒が考えて述べた「答え」に対し、自分の考えより優れていると感じたら、素直に「君の考えは正しい」と述べて学生の努力・実力を認め、自信をつけさせています。
  • 大学進学を考えている学生に対し、効率的な勉強をいくつも提案します。その際「なぜこの方法を勧めたのか」を論理的に説明します。さらに、自分が進んだ工学部材料系の研究内容がどのように社会につながっているのか、キャンパスライフはどのようなものなのかをきちんと説明し、大学に対するイメージを膨らませ、モチベーションを高めさせています。
  • 就職を考えている、もしくは専門学校に進学することを考えている学生に対し、「仕事のやりがい」を説明するのと同時に「業界の状況」「年収」についても知っている限りのことを説明いたします。また、「将来独立したい」と考えている学生に対しては、実際に「独立するまでのプロセス」を自分の経験をもとに、必要な手続き、費用を具体的に説明しております。

…という具合に「学校で学ぶ『勉強』以外の勉強」について時間を一定量割いて説明しております。これが結構生徒をウケているみたいです。

2.「教える側」を面白くするには…

  • 一にも二にも生徒自身と親御さんとの間に信頼関係を作ることです。
  • そうすることで「この先生は本当に自分の子供のことを考えてくれているから、預けたくなる」と親御さんは考えてくれるようになり、先生に積極的に協力してくれます。生徒自身と信頼関係を得るには、実際に指導して成績が上がったという「実績」を作り(もし、これができない場合は「勉強が楽しくなった」という「実績」を作る)、そのうえで生徒自身と他愛もない雑談を交わしながら共感できる部分を探し、それを見つけ話を合わせるようにします。
  • そうすると、教える側が「次はもっといい授業をしよう」という考えに至り、彼らのモチベーションがアップしてゆきます。
  • それにつられ、生徒のほうも「先生に認められたい」と感じるようになり、勉強しだします。
  • 学生が成長してゆく姿を見るのは、やはりうれしいものです。これが教育の醍醐味ではないでしょうか。

大変長くなって申し訳ございません。