ネット選挙(ねっとせんきょ)

ネット選挙(ねっとせんきょ)

  • 2013年7月の参議院議員選挙よりインターネットを使った選挙活動が解禁となった。インターネットを使った選挙活動が解禁されただけで、インターネットを使って投票はできないので、注意すること。
  • また選挙期間以外に当選を目的として投票の依頼などを行うことは事前運動として禁止されているため、事実上政治家はインターネットを利用して投票依頼を行うことが出来ない。

ネット選挙が解禁になるまでの経緯

  • 日本の公職選挙法では、選挙運動のインターネット利用は「選挙運動のために使用する文書図画」にあたると解釈されて第142条第1項で禁止されている。また第146条の「選挙運動の期間中において文書図画の頒布又は掲示につき禁止を免れる行為の制限」および第178条第2項の「選挙後の当選または落選に関する有権者へのあいさつを目的とした文書図画の頒布や掲示の制限」が記述されている。
  • そのため。次の行為は、公職選挙法に抵触する恐れが高い。
    • 選挙期間中にインターネット(ブログやTwitter、FacebookなどのSNSやYou Tubeといった動画サイトに動画をアップする)を利用して情報を発信すること
      (公職選挙法第142条第1項および146条違反)

    • 選挙後にインターネットを利用して当落選に関する有権者へのあいさつ表明(例として「当選御礼」という文字等をサイトに掲げる→公職選挙法第178条第2項違反)
  • そのため、候補者は選挙期間中及び選挙後に当落選に関する有権者へのあいさつ表明に関してウェブサイト更新や電子メール配信を自粛することが一般的になっている。
  • しかし、2007年の参議院選挙にて東京無所属の神田敏晶氏は音声のみをホームページにアップしていたが、選挙管理委員会はこれを黙認した。また、2008年の阿久根市長に立候補した竹原信一氏は選挙公示日からブログを更新し、対立候補を批判する文章を載せ続けた。直近では、2011年の福岡市議選挙にて、本山貴春氏がUstream、You Tube、Twitterなどを毎日更新していた。選挙管理委員会から警告を受けても更新を続けていた。選挙管理委員会から提訴されたが、結局は起訴猶予となった。
  • これらを踏まえて、今年(2013年)4月に改正公職選挙法が成立し、今年の7月から実施される。

課題

  • 近年の憲法学・政治学において、次のようなことを懸念している。
    • 空間を中心とした選挙運動においては情報フィルタリングや集団極性化といった現象が多発するため結果として有権者たちが社会内の多様な政治的見解に触れる機会がむしろ減退する

    • 「可能な限り多くの立場から意見を聞いた上で投票態度を決定する」という民主主義の理念が歪められるのではないか…というものである。
  • 「お金がかからない選挙活動」と期待されているが、安価なレンタルサーバを使用することで、データ消失などのリスクが高くなったり、高い質のコンテンツを追求すると、それに伴う費用が莫大になるため、資金力と技術力の差が大きくなる恐れが高い。
  • 一番懸念されているのが、選挙期間中に誹謗・中傷、なりすましといった行為である。これらの行為が認知された場合、直ちに取り締まりの対象と出来るが単純にネット選挙を解禁した場合、候補者の対立候補批判と第三者による誹謗・中傷とが識別できなくなり取り締まりが事実上不可能になる恐れがある。
  • インターネットのグローバル性を悪用して、日本の国益にかない、他国の反発を買うような政策を発言した候補にテロなどが行われる危険性も払しょくできない。

ほかの国では

  • アメリカ合衆国では無制限で活用されている。ブロードバンド大国の大韓民国でも活用される。

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