仕事でのお悩み相談6

アルバイトが長く続かない大学生をどう思いますか?

図44

  • 私(筆者)が学生~20代だったころのアルバイトの状況と現在の学生~20代のアルバイトの状況を比較してみましょう。

筆者が学生だった当時

  • 私たちが学生だった当時のアルバイトの時給は750円~850円程度だった。(詳しくは“アルバイト以下”の待遇に喘ぐ若手正社員の悲惨な職場事情をご覧ください。2008年の記事です)
    賃金の割には労働時間・拘束時間が極めて長く、それに耐えかね辞めようとすると、会社のほうから「人手が足りないのに何でやめるの?」とか「君が辞めたせいで会社(お店)に損害が出るから、その分を損害賠償として請求する」といって立場が極めて強い企業が立場の弱い学生バイト君たちに脅しをかけていた。今でいう「パワハラ」ですね。(実際に某大手外食チェーン店での店側とバイト側のやり取りがニュースになった)
  • 学生バイトのほうも、不景気でなかなか転職しづらい…という背景があるため、企業側の立場を生かした恫喝に屈し、その場に居続けなければならなかった

…から、私が学生だった頃のアルバイトは「長続き」したのです。言い換えれば辞めたくても辞められなかったから長続きした…ということです。

では、現在の学生~20代のアルバイトの状況はというと…?

  • 現在のアルバイトの時給は平均1000円~である
  • このような対応をする経営者・会社を「ブラック企業」「ブラック経営者」と呼ぶようになり、その情報もSNSやインターネット、YouTubeなどを通じて拡散され、学生間でシェアされるようになった。その結果、学生バイト君たちが一斉に「辞める」という行動に出たため、人手不足が深刻になり、会社側は賃金などの労働環境を改善せざるを得なくなった
  • 少子高齢化からくる、深刻な人手不足およびアベノミクス効果による経済状況の好転により、バイトをすぐ辞めても新しい職を得るのが非常に簡単な状況になっているので、ちょっとでもいい条件の会社に移りやすくなった

…という具合です。

  • 私が学生だった当時、「会社は定年まで勤めあげるもの=転職は悪」という昭和の価値観が生きておりました。しかし、2008年(平成20年)に発生したリーマンショックによって、名だたる大企業が一気に赤字転落・倒産というものを目の前で見たため(実際私が最初に勤めていた会社もリーマンショックの煽りを受けて週休4日という状態になり私が退社した後、買収されました)「会社というのはいつつぶれるかわからない」という価値観に変わりました。

筆者の見解は?

  • 話が脱線してしまいましたが、私はアルバイトが長く続かない大学生がいてもおかしくないと思います。また、そのような脱落者が出るのは、「やってみたけど思っていることと違う」という本人の考えもあるでしょうが、やはり魅力のない仕事を押し付けたり、平然と「バイトは黙ってろ」といって見下す正社員がいても注意しない会社側にも問題があるのではないでしょうか。そのような会社は学生バイト君たちに見限られてもおかしくないと思います。
  • 氷河期世代の私から見ると、彼らは非常に恵まれた状況にいるんだなぁ…とうらやましく思う反面、正社員になった時、仕事に対する責任感の重圧や社会の理不尽さに耐えられるのかな?とか、彼らの下の世代(現在の中学生~小学生)が私たち氷河期世代のように割を食うのかな…?と心配しながら見ております。(2020年東京オリンピック後に不景気が来るのでは?といわれているため)