学力テスト(がくりょくてすと)

学力テスト(がくりょくてすと)

  1. 小・中・高校にて、抜き打ちで行われる小テストないし普通のテスト。
    別名実力テスト。

  2. 2007年から行われている全国の国公立および私立小学6年生および中学3年生を対象とした試験のこと。今回はこれについて解説する。

始まり

  • 1960年に全国の中学生の学力を把握するために、「全国中学校一斉学力調査:通称学力テスト」という名前で文部科学省(当時は文部省)の提唱により始まった。しかし、「地域間競争の激化」や「学校間競争が激化」するという理由で1964年を最後に中止となった。(1966年、地裁の「違法」判決によって全面中止になった)。
  • その後、1972年に日本教職員組合(日教組)が「ゆとり教育」と「学校5日制」を提案し、1980年代からゆとり教育が始まった。ゆとり教育が実質的に開始された1998年以降、OECDの学力調査やPISAの結果が過去最悪となり、子供の学力低下が懸念されるようになった。
  • そこで、第1次安倍内閣の時にゆとり教育見直しが行われ、文部科学省の提唱により「全国学力・学習状況調査:通称全国学力テスト」が復活した。

全国学力テストの内容

  • 全国学力テストは次のような内容で行われる。
    • 試験は国語・数学・理科(2012年以降)の3教科で行われる。

    • それぞれの知識力を問う問題(問題A)と知識を生かして解く問題(問題B)の2種類が存在する。

    • 学力を問う問題だけでなく、児童生徒の学習環境および生活環境に関する質問(アンケート形式で答える)がある。

    • 答案用紙の氏名欄には氏名を記入せず番号を記入する。

学力テストの結果

  • ここに、全国学力テストのランキングを示す。ただし2011年度は東日本大震災という未曽有の大災害が発生したため、試験が中止となった。ゆえに2011年度のランキングが存在しないことを留意していただきたい。また、2013年度の結果は速報値であるため、理科のランキングがまだ出ていない。わかり次第公表する。

全国学力テスト結果およびランキング

  • 2007~2009年

2007~2009年度試験結果

  • 2010~2012年

2010~2012年度試験結果

  • 2013年~

2013年度以降試験結果

平均点の推移

  • 2007年度から2013年度までの全国平均の推移を表したグラフを示す。

全国平均の推移

  • これより読み取れることは、平均点が国語>数学>理科であることがわかる。また、問題の難易度が高くなったためか不明だが、年を追うごとに平均点が減少する傾向が強いことがわかる。ゆえに、全体的な学力が下がっているといえよう。

生活習慣と学力テストランキング

  • このような学力のばらつきが生じた理由を、生活習慣の角度から切り込んでみると、なかなか興味深いデータがわかった。

通塾率と学力テストランキング

  • この表を見ていただきたい。左に通塾率、右に学力テストランキング(2010年度の国語)となっている。通塾率全国ナンバーワンの和歌山県の学力ランキングは全国44位である。しかし、通塾率全国ワースト2の秋田県が学力ランキング全国ナンバーワンであるという結果が出ている。「塾に通っている生徒が多いほど学力ランキングが上昇する」という仮定は成り立たないことがわかる。

通塾率と学力テストランキング

離婚数と学力ランキング

  • この表を見ていただくとよくわかるが、離婚率の高い県ほど学力ランキングの下位常連となっていることがわかる。離婚率が真ん中のところは学力テストランキングの順位も真ん中くらいである。
    このことから離婚率と学力テストランキングには、相関関係があるものと思われる。

離婚数と学力ランキング

朝食摂取率と学力ランキング

  • 家庭で朝食をとることと、学力の関係を調べると、ランキング上位県ほど朝食摂取率が高く、ランキングの下位県ほど朝食摂取率が低いという関係が見て取れる。なぜならば、朝食をとらないと朝ボーッとしていることが多く、テストが行われる午前中に実力を発揮できないということが顕著に表れているからだ。

朝食摂取率と学力ランキング

  • 上位に入った東北三県は祖父母・父母・子供の三世帯家族で家も大きい「農村型社会」のため、朝食摂取率が高くなる傾向が強い。逆に大阪、和歌山、奈良の近畿三県は大阪府という大都市があるため、核家族・マンション住まいといった「高度経済成長型社会」の生活スタイルになり、朝食摂取率が低くなるものと考えられる。
    ※ただし、和歌山は梅やミカンの産地、奈良は農業・林業が盛んな土地柄で、農村型社会に近いと思われるがなぜ朝食摂取率が低いのかはほかにも原因があるものと考えられる。

家庭学習率と学力テストランキング

  • 家庭学習率と学力テストランキングの関係を表したものを下に示す。大体「家庭学習の割合が高い=学力ランキングが高い」という関係がある。しかし、富山県や東京都などは「家庭学習の割合が低いにも関わらず学力ランキング上位に食い込む」ということが起きたり、宮崎県や長野県などは「家庭学習の割合が高いにもかかわらず学力テストランキングが低い」というケースがある。

家庭学習率と学力テストランキング

  • 家庭学習の割合が高い=学力ランキングが高いとは言えない部分もあることに注意が必要である。

日本教職員組合(日教組)の組織率と学力ランキング

  • 一部の日本教職員組合(日教組)に所属している教師が「狂師」となって子供に悪影響を与えているため、日教組の教師=サヨク教育者というイメージがついてしまっている。そのため、日教組の組織率が高いほど学力が低いと思われている。しかし、実際に調べると…
日教組組織率と学力テストランキング

この図を見てほしい。赤色は日教組の組織率が高く、平均点が75点以上の県である。青色は日教組の組織率が低く、平均点が70点未満の県である。「日教組の組織率が高いところほど学力が高い」という意外な結果が出ている。

さらに、「日教組の組織率が高い」ところほど、学校が荒れている割合が低く、逆に「日教組の組織率が低い」ところほど学校が荒れている割合が高くなるという特性がある。

難関大学進学率と学力ランキング

  • 「学力テスト」は小中学生を対象としており、学力ランキング上位県の生徒のその後の進路について興味があったので調べてみた。中学卒業後高校、大学へと進学していくが、東大・京大といったいわゆる旧帝大・難関大と呼ばれる日本最高峰の大学に合格する割合と学力テストランキングとの関係を調べたところ…

難関大学進学率と学力ランキング

  • この表をご覧になっていただくとよくわかるが、学力ランキング最下位常連であった大阪府や和歌山県が京大進学率上位に食い込んでいる。しかし、学力ランキングトップであった秋田県は、東大進学率34位、京大進学率44位と低迷している。
  • その原因としては、秋田県の近くに東北大学・北海道大学といった旧帝大があることと、最近開学した「東大に合格するより難しい」ことで有名な国際教養大学に学生が進学するものと思われる。これはあくまで推測であるが、小中学校で学力を「極めた」ため、伸びしろがなくなってしまい高校で尻すぼみになってしまうからではないだろううか。
  • 逆に大阪府や和歌山県などでは「伸びしろ」を将来フル活用するために、小中学校では本気を出さずに温存しておき、高校で実力を発揮する…ということを行っていると思う。
  • 沖縄県が相変わらず低いのは、経済的理由と沖縄で行われている「サヨク教育」の影響ではないだろうか。

まとめ

  • 分析結果をまとめるとこのようになる。
  • 小中学校の学力は、家庭環境に影響されやすい
  • 通塾率と小中学校の学力はそれほど関係がない
  • 日教組の組織率が低いほど学力が低い傾向が強い
  • 沖縄県の学力が低いのは経済的理由、家庭環境および学校で行われている「サヨク教育」の影響であるためと思われる。
  • 小中学校の「学力」が高いからといって、東大・京大といった難関大に合格する割合が高いわけではない。(むしろ低くなるケースが多い)

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