AIが人間の仕事を奪うかもしれない?

AIが人間の仕事を奪うかもしれない?

  • みなさん「R.U.R」という戯曲をご存知ですか?これはチェコの作家、カレル・チャペックが1920年に書いたものですが、ここで描かれている内容が21世紀の現在に実現するかもしれません。
  • 産経新聞に気になる記事がありましたので、紹介しようと思います。

投稿動画の衝撃予言…〝働くAI〟で大失業社会到来、ロボットが証券マン、医者、記者までこなす?

投資も診察も執筆もマシンにお任せ?-。人工知能(AI)やロボットが、幅広い“職種”に進出している。技術革新が進み、単純労働だけでなく、高度な判断が求められる知的労働もこなせるようになってきたためだ。AIが人を助けるだけでなく、「働き手」としても存在感を増しつつあるなか、世界大恐慌を超える「大失業時代」が到来するとの声も聞かれる。

動画投稿サイト「ユーチューブ」で、IT業界や労働関係者などの間で話題を呼んでいる動画がある。

 「人間は採用する必要はない」

 タイトルからして刺激的な作品を制作したのは、文化やサイエンスなどさまざまなジャンルで問題提起しているビデオ・クリエーター、CGP・グレイ氏。昨年8月に公開されて以来、反響を呼び、視聴回数は400万回を超えた。

 内容は、すでに驚くほど多様な業種でロボットが採用されている実態の紹介と、今後ますます社会に浸透していけば人間から多くの仕事を奪うことになる、との予言めいたものだ。

 それによると、まず職を失うとみられるのが、スーパーのレジ係のような、作業の手順がシンプルな単純労働だ。長距離トラックの仕事も「もう消えたに等しい」という。自動車メーカーが開発にしのぎを削る自動運転車は完全とは言えないまでも、眠気も催さずハンドル操作も的確で「人間より賢い」というわけだ。

 顧客の注文をよく吟味しなければいけない喫茶店も、むしろ「バリスタロボット」の方が顧客の特徴や嗜好を覚えてネットワーク化することで、どこでも好きなコーヒーが楽しめるようになるという。実際、日本でも購入者の顔から年齢や性別を特定して、それに合わせたメニューを提供する自販機が登場している。(以下略)

  • ここ最近、過去の商品購入データなどを元に、顧客の好みや購入先といった「ビッグデータ」を分析して、そこからほしい商品を薦める…ということがあちこちで行われています。また、ニコニコ動画で行っていた政党の議席獲得予測は、大手メディアが行っている出口調査よりはるかに高い精度で的中させていました。

ニコニコ動画で行っていた政党の議席獲得予測

  • 産業界では、産業用ロボットメーカ大手のFANUCは、同じ作業を繰り返し行わせると、その経験をフィードバックさせて仕事を能率化させる「学習システム」を搭載したロボットや、特定の色がついた部品だけを抽出したり、散らかった部品ブースからお目当ての部品だけを「短時間に」取り出すロボット…といったものを開発しています。

先進的なロボット

ここまでAIが発展するということは…

  • 以前、私は新潟県にある機械メーカに勤めていましたが、部署がが変わって上司より「研修に行って来い」といわれたので、新入社員(当時)を引き連れて、新潟市(だったと思う)にあるFANUCの研修施設に行きました。その時このような質問をFANUCの開発者に説明いたしました。「赤、緑、黄色、青…といった部品を瞬時に判断して抽出するロボットが開発できたら、人間の役目はありませんよね?」と。
    これを聞いた開発者は目を白黒させていました。たぶんそこまで考えていなかったのでしょう。
  • 大学の工学部や高専の機械工学科等に進学し、ロボット工学を学ぶときに必ず「ロボット三原則」というものを学びます。しかし、もしある科学者が、ロボット三原則の第3条に反してロボットに「心」を植え付けたら、間違いなく「R.U.R」に書かれている悲劇的な結末が人類に及ぶかもしれません。

「心優しい」ロボットが…

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人類に牙をむくかも?

AIと人間のバランスが必要

  • 人間は、「楽をするため」に機械を作り発展させてゆきました。しかし、時代が進むにつれ、人間が楽するために作った物言わぬ機械に人間が操られるという皮肉な状況が生み出されているのも現実です。
  • いろいろなものが機械で作ることができるようになりましたが、輪島漆器などで用いられている「螺鈿」「沈金」「蒔絵」といった職人技は、機械で再現することはほぼ不可能ですし、経済予測もコンピュータがはじき出した「答え」ばかりに頼っているから、我々が感じる「実態」とのギャップが大きくなるのではないでしょうか。
  • 私自身、大学・大学院で工学を学び、そこで得た知識を使って生活していますが、先ほど紹介した記事を読むと考え込んでしまいます。これからは「人間が機械に頼る」のではなく「人間と機械のすみわけ」が必要になってくるのだと思います。

a:2003 t:1 y:0